正倉院は税を保管するための倉庫群である。郡衙の正倉には租税が納められており、税金
として徴収した米や稗、粟などの穀物を収蔵した公的な倉庫である。正倉院があるので、幡羅遺跡は古代の郡役所であることは明らかである。災害や飢饉などのときはそのイネが人々に支給されるなど、社会保障・扶助機能があった。9世紀以降は本来地方で消費されるはずであったイネは中央で財源化されてしまう。律令国家が弱体化していく過程である。倉庫の規定である「倉庫令」に、稲穀は保存年限を9年とする規定があるので、この年限で更新される。豪族の居宅や集落のクラの床面積は5坪程度であるため、そ 10 坪以上の床面積をもつ正倉院は国家の威信を表すものであった。
遺構
- 溝
- 竪穴建物
- 土坑
- 区画溝
- 掘立柱建物
- 掘立柱塀
- 円形周溝
遺物
- 土師器
- ロクロ土師器
- 棒状鉄製品
- 鉄釘
- 須恵器
- 銅製品
- 埴輪
- ロクロ土師器
指定
- 2018年(平成30年)2月13日 - 国史跡指定
- 指定面積 102,110.98 平方メートル
- 深谷市では初の国史跡となる
展示
アクセス
- 名 称:幡羅遺跡
- 所在地:埼玉県深谷市東方字森吉他/埼玉県熊谷市西別府字西方他
- 交 通: JR高崎線深谷駅から車で約20分/JR高崎線籠原駅から車で約15分
参考文献
- 深谷市教育委員会(2009)「幡羅遺跡 X」埼玉県深谷市埋蔵文化財発掘調査報告書 第109集
- 深谷市教育委員会(2007)「幡羅遺跡 U」埼玉県深谷市埋蔵文化財発掘調査報告書 第88集
- 深谷市教育委員会(2011)「幡羅遺跡Z」埼玉県深谷市埋蔵文化財発掘調査報告書 第123集
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