狐塚古墳(調布市)(きつねづかこふん)は東京都調布市にある古墳時代の円墳である。
調布市の多摩川中流域にある左岸に展開する下布田古墳群の中の円墳である。多摩川と野川の崖は下は天然の湧き水がでるため、古代人には良好な居住地であった。この付近に古墳が造営されるのは5世紀中頃からであった。下布田遺跡、染地遺跡、杉森遺跡、原山遺跡、飛田給遺跡などがあるが、ほんんどは整地されてしまい、遺構は残っていない。下布田古墳群には13基の円墳が発見されている。狐塚古墳はそのひとつである。 狐塚古墳は昭和19年頃、照空隊陣地(高射砲陣地)設営のため大半が掘り崩され、平成12年の調査時点では、中央部分に80センチ程の高まりを残すだけであった。発掘調査後に史跡公園「歴史の広場」として保存された。現地は草が生い茂っている。付近に「調布市遺跡調査会 調布市博物館分室」がある。郷土博物館分室は通常公開していない。
狐塚古墳の調査は、調布市布田六丁目土地区画整理事業に伴い、平成12年10月から13年3月にかけて行われた。天井部分が破壊された半地下式の横穴式石室から、羨道に近い石室西壁下から鉄製大刀3点、小刀1点、鍔2点、刀子1点、鉄鏃1点が出土した。大刀3点のうち最長は、全長94.5cmの直刀で、刀身に径約5mmの孔を穿つ「刃関孔大刀」であった。石室は、現状で羨門から奥壁まで8.7m、石室床面長6.8mの大きさで、奥壁へ向かってやや幅が広くなる羽子板状であった。
半地下式の横穴式石室
調布市郷土博物館で保管
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