吹上遺跡(大分県)
2024-05-13


吹上遺跡(大分県)(ふきあげいせき)は大分県日田市に所在する弥生時代中期の遺跡である。

概要

大分県の筑後川の中流域を流れる盆地に日田市があり、市内北部の台地に吹上遺跡がある。 1995年度の調査で、弥生時代の有力者の墓とされる甕棺墓7基、木棺墓3基が見つかった。副葬品からは、銅剣や銅戈などの武器類、貝輪、勾玉などの装飾品、ヒスイ製勾玉や県内唯一の銅鐸形土製品・石製品や銅戈形土製品が多数出土し、そのうち577点が2010年に重要文化財に指定された。弥生時代の葬送儀礼の実態を知る上で欠かせない重要な資料となる。 甕棺墓8基と木棺墓3基で構成される。甕棺墓は成人用甕棺墓4と小児用甕棺墓4である。 大分県内を代表する弥生時代の遺跡とされた。

4号甕棺墓

中でも注目されるのが4号甕棺墓である。2個の甕棺を使って遺体埋葬室とし、その外側に甕1個を覆い被せ副葬室とする。朱が散布された棺内には、ゴホウラ貝の腕輪を右手に装着した熟年男性の棺からは勾玉や管玉などの装身具が出土した。副葬室からは鉄剣と銅戈が出土した。

5号甕棺墓

4号甕棺と隣り合わせになる5号甕棺からは両腕に計17個のイモガイの腕輪を熟年女性の人骨に着装して出土した。いずれも着装状態で発見された珍しい事例である。

1号木棺墓

副葬例としては珍しく、銅剣の剣身と把頭飾が出土した。

石包丁

弥生時代全時期にわたり石包丁が分布しており,現在までに300点を越える石包丁が採集されている。それらのうち60%から70%迄が,福岡県飯塚市立岩から算出する輝緑凝灰岩であり外湾刃半月形や,杏仁形の石包丁が多いが、直線刃半月形や,方形のものは採取されていない。中期の杏仁形石包丁は器肉が厚く,特に器身中央が厚く作られ機能的面の強化がみられる。大分県において日田地方(特に吹上)ほど石包丁の両が豊富な遺跡はなく,大野川流域に於いては1遺跡1点程度の割合でしか出土しない。日田盆地における中心的村落(母村)として長期間続いたことが想定される。

遺構

遺物

指定

展示

アクセス

参考文献

  1. 日田市教育庁文化財保護課(2014)『日田市埋蔵文化財調査報告書/市内遺跡発掘調査報告書112/13:吹上VI』日田市教育委員会
[弥生時代]

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