滑瀬遺跡(なめんじょいせき)は弥生時代後期から古墳時代前期にかけての高地性集落遺跡である。
滑瀬遺跡は大阪府 泉南市信達六尾にある通称「ナメクジ山」と呼ばれる丘陵付近の谷底低地と独立丘陵にまたがる。弥生時代中期末から後期初頭の竪穴住居は、山頂部4棟、斜面地7棟、平地4棟で見つかった。標高65mで、山頂部と平地部の比高差は20mある。土器は畿内第X様式の初頭とされる。合計15棟の竪穴住居が発見された。出土土器の中に凸文帯のある壺が出土した。竪穴住居の多くは円形であるが、西側丘陵では方形隅丸プランの住居があった。平野部の4棟以外は急峻な斜面または頂上部で竪穴住居が見つかっている。
近畿自動車和歌山線建設に伴って発掘調査を実施した。試掘2回を経て、1985年(昭和60年)6月1日から7月31日まで1次調査を行い、1985年(昭和60年)8月15日から1686年(昭和61年)2月28日まで2次調査を行った。 調査の結果、弥生時代の竪穴住居・掘立柱建物・溝・自然流路、平安時代の溝、中世の堀・柱穴群などを検出した。丘陵の頂上から谷をはさみ、さらに対面する斜面にかけて、20棟以上の竪穴建物や掘立柱建物が建っていた。甕、壺、高坏、台付無頸壺、台付鉢、広口壺、砥石、有茎式石鏃、国府型ナイフ形石器。有茎尖頭器、細部調整のあるチャート、サヌカイト製スクレイパーが出土した。竪穴建物はほぼ円形である。6号住居の炉は長軸1.36m、短軸0.76m、深さ0.28mである。広口壺は端部を垂下したものがある。
滑瀬遺跡で出土した板石の破片は、弥生時代後期(1世紀)のすずりの可能性が高いと2019年6月19日に福岡市埋蔵文化財課の久住猛雄主事が指摘した。石片は1985〜86年度の調査で出土。長さ6・5センチ、幅2センチである。 弥生時代から古墳時代前期のすずりは、これまでに北部九州を中心に50例以上確認されているが、大阪府で見つかったのは初めてである。現状では東限である。
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