天神段遺跡(てんじんだんいせき)は鹿児島県曽於郡大崎町野方にある旧石器時代から近世まで(古墳時代を除く)の複合遺跡である。
天神段遺跡は大隅半島の中央にある標高200nの台地上にある。約3万年前の姶良カルデラの噴出物(通称シラス)層と約1万2800年前の薩摩火山灰の間の層から多数の石器が出土した。旧石器時代の発掘調査では礫群やナイフ形石器,台形石器,細石刃核,細石刃,敲打具等の遺物が多数発見された。旧石器時代の活動は3期にわかれる。最下部の15層は礫群1基、炭化物集中区1か所、石器数点がみつかった。11層・12層から礫群10基、狩猟用とみられるナイフ形石器と三陵尖頭器、台形石器が出土した。ナイフ形石器や台形石器は小型が多い。9層・10層の厚さ30cmから礫群1基、細石刃核、細石刃、土器破片、石鏃が出土し、旧石器時代の終末期から縄文時代草創期まで続くことが判明した。 石材は南九州各地からもたらされた。活動範囲の広さが分かる資料である。 縄文時代早期の遺構及び遺物が確認された。特に,313 基検出された集石遺構は,1遺跡としては県内最大数である。 また,竪穴住居状遺構や土坑等の遺構も多く検出され,当時の集落の様相を解明する良好な資料となった。 さらに,土器に関しては南九州における早期の型式の多くが確認されている。 平栫式土器及び塞ノ神式土器が多量に出土している。 玉髄、水晶、頁岩、黒曜石などを素材として小型台形石器やナイフ型石器を作っている。2cmから2.5cmの小型の石器が多い。
遺跡全体で400組以上の接合資料がえられた。細石刃核の製作技術は2つに分類されることが判明した。1つは黒曜石から小型の細石刃核を作るもの、2つはこぶし大の頁岩を分割し細石刃核を作るものである。
平成19年度から平成5年度まで7年間に渡り調査した。
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