押出遺跡(おんだしいせき)は山県県東置賜郡高畠町にある縄文時代の集落遺跡である。
山形県南部の高畠町から南陽市に渡る「大谷地」といわれる泥炭湿地帯の縁辺部に位置する。 特筆する出土品は赤・黒色に彩色された漆塗り土器である。浅鉢形が出土しており、縄文時代前期までに全体に漆を塗った土器の完成品は他では出土していない。平成27年の第6次調査では壺型が出土した。口縁部に貫通孔が一周し、口縁部を除いて赤漆が塗られ、黒漆で文様が描かれる。
国道13号南陽バイパス建設に伴い、調査を始め、5800年前の縄文時代前期後半の集落跡が発見された。昭和60年から昭和62年の第一次から第三次調査では約2.5mの深さから多数の杭と「転ばし根太」と言われる丸太材を基礎とした盛土遺構が見つかった。「転ばし根太」は湿地帯による沈下を防ぐために敷いたとみられる。盛土遺構の上面からは土器、石器、木製品、漆製品、繊維製品、クッキー状の炭化物が見つかっている。クッキー状炭化物は堅果類を粉状にして焼いた食料である。 約 35棟の住居跡が確認された。床を掘下げない平地式の「壁立式住居」で、柱に丸太あるいは割材を用い先端をとがらせて打込んでいる。掘立柱による大型の建物も1棟検出された。
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