中東遺跡(なかひがしいせき)は埼玉県三芳町にある旧石器時代の遺跡である。
概要
武蔵野台地の北東部、平坦で現在は河川がない標高40mの個所にある中東遺跡から、黒曜石など石器を製作した痕跡が発見された。遺跡は後期旧石器時代である。面積は51000m2である。平成22年度までに5地点を調査し、うち3地点から3300点を超える石器や礫が出土した。6層・7層の火山灰測定では、形態・色調・屈折率の数値から2.8万年から3万年前の南九州姶良カルデラからの噴出物と判断された。5層下部は1.5万年前から1.65万年前の浅間山の噴出物であった。
発掘調査により、当時の人々は約1万6千年もの長い間、何度もこの地を訪れては石器を作ったり狩りをしていたことが判明した。小川が流れ、狩りの対象である獣たちが集まる場所は、暮らすのに最適な土地であった。
調査
1992年以降考古学的調査と地質地形分析により、過去は河川があったことが判明した。埋没した河川の両岸から3300点を超える石器や礫が出土した。黒曜石製ナイフ形石器、掻器や削器が出土した。槍の先端につけ狩猟具とした。
石器の意義
- (1)中東遺跡では3万年前から1万9千年の間の地層からそれぞれ石器が出土しており、時期による大きさ・形・作り方の変遷がよく分かるものである。
- (2)石器を作る前の原石に近い形まで接合復元できるものが複数発見されており、石器作りの技術がわかる。
- (3)黒曜石原産地分析によれば、87%が伊豆半島天城火山に近い柏峠産の黒曜石であった。ほかは箱根須雲川沿いの畑宿、長野県和田峠のものがあった。旧石器時代人の行動範囲がわかるものである。
遺構
遺物 旧石器
規模
- 南北 30km
- 東西 40km
- 面積 51000m2
指定
アクセス
- 名称:中東遺跡
- 所在地:埼玉県入間郡三芳町上富195-1
- 交通:東武東上線 鶴瀬駅 1時間10分 5km
展示
- 名称:三芳町歴史民俗資料館
- 開館:午前9時から午後4時30分まで(入館は午後4時まで)
- 休館:月曜日・国民の祝日・年末年始
- 入場料:無料
- 所在地:埼玉県入間郡三芳町大字竹間沢877
- 交通:東武東上線みずほ台駅下車徒歩20分
参考文献
- 三芳町教育委員会(2016)「中東遺跡 第6地点・第7地点」
- 文化庁(2012)「発掘された日本列島 2012」朝日新聞出版
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