白滝遺跡群(しらたきいせきぐん)は、北海道紋別郡遠軽町にある旧石器時代の遺跡群である。
北海道大雪山系の北東山麓にある遠軽町白滝に位置する。赤石山の南側に湧別川の河岸段丘上を中心として100か所ほどの旧石器時代の遺跡が分布する。日本有数の黒曜石の原産地である。黒曜石の埋蔵量が2億トンから5億トンと言われる。湧別川の流域は、数段の河岸段丘が発達し、90か所近くの旧石器時代の遺跡があり、「白滝遺跡群」と総称されている。上白滝8遺跡は、全体で約135万点、3,460kgの遺物が出土している。遺物は全て石器類で、ほとんどが旧石器時代のものである。内訳は小型不定形剥片、広郷型ナイフ形石器、蘭越型・峠下型・美利河型・札滑型・幌加型・白滝型・紅葉山型・忍路子型・射的山型(広郷型)などの細石刃核、ホロカ型彫器、有舌尖頭器、小型舟底形石器などを含む北海道内のほぼ全ての石器群が出土している。
旧石器時代の遺跡出土遺物の中でも内容・質量ともに群を抜くものであり、世界的に貴重な出土品である。舟底形石器を含む石器群は白滝遺跡群で主体を占める。ナイフ形石器は「広郷型」が主体を占める。広郷型ナイフ形石器は北海道特有のナイフ形石器であり、素材の鋭い縁辺を一部に残し、他をやや平坦な二次加工が覆う。ホロカ型彫器は大型の石刃を素材とし、その端部を表面側に斜めに打ち欠いて鋭い刃を作り出した石器である。
鈴木宏行(2004)は白滝遺跡群の意義を2つ示した。第一は原産地遺跡で行われた石器製作活動の復元が可能であること。第二は道路建設に伴う長大なトレンチ調査ゆえにほぼ同一の石材環境と見なされる範囲内での通時的・共時的な遺跡間変異の検討が可能であることとする。
石器群の編年や他の地域の遺跡との比較検討という大きな課題があるとされている。
炭化木片について放射性炭素年代測定(AMS 法)を行ったところ年代は14C年代測定値で27,000年前から10,000年前の年代値が得られている。 服部台2・奥白滝1・上白滝8・上白滝2・上白滝5・白滝3・一部の旧白滝5遺跡の試料では、最も新しいもので9,940±40yBP(Beta-150438)、最も古いものは28,120±180yBP(Beta-186199)という数値が得られ、それらは、10,000〜10,500yBP、11,500〜11,900yBP、13,400〜14,300yBP、15,000〜16,200yBP、17,500〜19,000yBP に数値の集中がみられる。
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