花鳥山遺跡(はなどりやまいせき)は山梨軒笛吹市にある、縄文時代前期の集落遺跡である。
花鳥山遺跡は甲府盆地の南東部の花鳥山丘陵上に位置し、縄文時代の遺跡として全国的に知られている。花鳥山は標高564.9mであるが、丘陵上に200m四方の平坦部が存在する。 。明治27年に発行された『山梨懸市郡村誌』にはこの地域から土器が出土したことが書かれており、この地は古くから土器が出る場所として認識されていた。大正年間に仁科義男、野沢昌康、山本寿々雄らによる調査が行われた。
1954年、1955年に国学院大学の発掘調査が行われ、住居跡3件と膨大な遺物が発掘された。1987年(昭和62年)10月12日から12月26日まで30年ぶりの発掘調査が行われた。標高530mから490mにかけて長さ約270m×幅3mを調査した。住居跡24軒、土坑33基が確認された。縄文時代、諸磯式bからc期に相当する。ごくわずかの押形文土器や黒浜式の繊維を含む土器が検出された。集落形態は馬蹄形と見られる。国学院大学と合わせると、遺跡の規模はかなり大きいとみられる。土器は小破片であり、出土量も少ない。4号住居跡は直径5mの円形である。床面からエゴマの炭化種子が出土した。多量の土器片が出土した。諸磯式とみられる。4号住居跡は直径5.5mの円形と見られる。諸磯b式土器が出土した。 石器は打製石斧の材質は泥質ホルンフェルス、泥岩、粘板岩である。磨製石斧は少ない。石皿は39点が出土した。材質は安山岩または玄武岩である。磨石は出土量が多い。磨石の材料は花崗岩、安山岩、玄武岩、砂岩などである。ほかに石鏃300点近くが出土した。黒曜石製が大多数(93%)である。無茎鏃がほとんどである。そのほか石匙41点、ドリル、軽石がある。特殊遺物として、土製円盤25点、人形状土製品、土器片錐、ミニチュア土器、関西東海系土器、土製〓状耳飾り、ボタン状土製品が見られる。〓状耳飾りは縄文時代早期に登場し、前期に流行する。早期のものよりも前期のものの方が薄く作られる。花鳥山遺跡からは石製と土製の二種類の〓状耳飾りが出土する。1号住居跡から見つかった〓状耳飾りには、割れ口等に赤色の顔料が残っていた。そのほか小玉、ボタン状貝製品が見られる。土器内面に球根類のオコゲが付着する。
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